Works

ミュージアム

仕事柄、僕は博物館によく行く。
 
ここ 10年で行った博物館は 1020では足りず、 3桁になるだろう。
近頃は、展示物にさわって、操作して学べる体験型の博物館が人気だけど、
僕は東京・上野の国立博物館を代表とする、昔からあるような、展示物がガラスケースに並ぶ博物館が好きだ。ガラスケースにある展示物の価値など判らないし、展示物そのものにもさほど魅力を感じないが、薄暗く、静寂に包まれ、教会や寺院の中のような独特の緊張感が漂う、その雰囲気が好きだ。
 
人の一生どころか、中には国の誕生から滅亡をも超える、長い年月を経て博物館にたどり着いたモノたち。役目を終え、墓地に埋葬された人のように、博物館で保管され安らかに眠るモノたち。
 
僕はそれらにカメラを向ける。
そんな時、いつもある光景が頭に浮かぶ。人里はなれた山に降る続ける粉雪。誰の目に触れることなく、静かに、少しずつ、降り積もる雪。
博物館には、時が静かに降り積もる。しんしんと。
そして、明日も時は降り、未来永劫、降り続ける。しんしんと。しんしんと。